茜色の終曲〜finale〜

京アニkanonの第23話。物語のクライマックスに向けて一気に力を溜める回。前回のラストに見えた真琴は、真琴であって真琴でないもの。真琴が連れてきた本当の真琴。狐がモデルにした、人間の方の沢渡真琴。それを出してくるようにしたのかという驚きと納得少々。そして、それは狐の方の沢渡真琴にも似て……という循環の構図。まあ、そこら辺は、かつての祐一が、沢渡のお姉さんの好きなものを狐に話していたとすれば解決してしまう緩いメビウスの輪なのだが。

そして、美坂香里をひっぱりだしてくることで、栞〜香里の関係性と、今の名雪の状態が繰り返しという形で繋がる。交互に繰り返される画面の、しゃがみ込んだ名雪の顔の高さと、香里の足の高さが同一面。香里が進んだ道の途中に名雪がいる感じ。

次第にかつての記憶を取り戻す祐一のように、何度も繰り返す様を強調しつつ、最終回へと続く。恐らくそこでも反復が強調される。しかし、それは過去の繰り返しではなく、未来へ向かう現在のあゆみ。春が来て、また春が来るような希望に満ちた繰り返し。そうなるならば、ヒロイン全ての結末を畳み込むように提示するであろう最終回の構成もまた、反復のモチーフの強調であり、まさに綺麗にまとまることになるだろうなあ。

ぼくは、ハリウッド映画を見るたびに綺麗な流れのシナリオだと感じるのだが、京アニKanonもそういう均整の取れた構成だったように思う。って、まだ終わってないけど。それに、やっぱりこうして見てみると、ゲームやってないと補完できないところがあるよなあ。別に、知らないなら知らないで楽しめるとは思うけど、知っていることが前提になっている節がある。それはそれで構わないけれど、更に上手いこと出来たのかもしれないぞ、と思わないこともない。