問題の所在、あるいは知った口を利いてみる

多重人格って普通だよね?

普通じゃない。中二病的には憧れるけど、実装は無理。できちゃったらきっと親に泣きつくんだぜ?


夢の中に、自分以外の人物が登場しますか?その人はなにか話していますか?

夢の中の登場人物に語らせているのは誰ですか?

物語
優れた作家が口をそろえて言うのは、「キャラクターが勝手に動いてくれる」ということ。

このキャラクターが「いる」のは「どこ」ですか?

天使と悪魔
もう何万回と漫画で見たことがあると思うけど、「天使」と「悪魔」が頭の中で葛藤しているというアレ。

「天使」と「悪魔」の正体は?

夢でもキャラクターでも葛藤でもないのに自己が分裂しているから問題なのだ。
自己が分裂、というと総合失調症みたいになってしまうか。


ぼくの知っている限りだと、多重人格の各人格は人格の基礎としている記憶がそれぞればらばらだという。同じPCでもアカウントが違っているようなものかもしれない。
普通の人は、どんなときでも自分は自分だと認識できる。たまにできなくなると、自分が自分じゃないみたいだったとか夢の中にいるようだったとかいって、特異な体験として記憶される。普通じゃないからだ。

でもまだ記憶されているからマシな方だ。多重人格の人格は、それぞれの人格が記憶を独立的に管理してしまう。あれはおかしな体験だった、と思い返すことすらできないだろう。できるなら多重人格じゃないかもな。

ところで、このentryを書いたのはどの人格だろうか....

と、区別できないのは普通の人だ。普通の人は、どの記憶も自分のもので、そもそも区別されていない。区別されていなければ、区別できないのは当然だ。トートロジーってもんだ。
多重人格なら、少なくとも書いた人格は自分が書いたことを理解している。普通の人が自分が書いた記憶を持っているのと同じこと。及び、他人がいつどこで何を書いたのか分からないのと同じこと。


別に、普通の人には人格に揺らぎがないとか、多面性がないというわけではない。損得勘定とか道徳感情とかの価値基準を一つしか持っていなかったら葛藤はしない。自己と他者を見比べることができなかったら倣って習うことなんてできない。それでも、他者と自己とを区別し、かつ自己同士は統合環境にあると認識できるから大過なく生活できるのだ。できないのは問題であって、問題があるから、多重人格とか解離性同一性障害とかいって区別する必要があるのだ。
まあ、普通のことでも精神分析学者とかは症状だとか言い張って名前を付けるだろうけどね。