囚われ の ナナリー

ルルーシュの第16話。
『警察に撃たれたはずのマオが生きていた』と公式サイトのストーリーに書いてあるけど、まさにその通りの印象。前回の次回予告で目立っていたあの黒髪はC.C.だったのか。あっさり退場したかのように思えたマオを出しつつ、よりシナリオにスザクが絡んできそうなエピソードを持ってくる。やるねぇ。
さらにAパートでカレンの訓練、ミレイとロイドの邂逅を持ってくることで、近いうちに戦闘が生じる予感をさせる。また、ロイドとミレイが繋がることで、ユーフェミア・スザク・ニーナの絡みが期待される。
ニーナも角の女王の地盤を盤石の体勢で固めつつある。今回のコーネリアのシスコンぶりは相当キャラに深みを出した。ヴィレッタは、どうだろう。どういう役回りになるのだろうか。敵と味方の両方に男がいて、正義と愛と後なんかで苦悩するようなキャラになったら相当鬱陶しいと思うのだが、ルルーシュのシナリオならうまく料理してくれるかもしれない。全然違う風になるのかもしれないが。
ルルーシュとナナリーのことをクロヴィスが気にしていたのというのは、以前の領館に2人の絵がたくさんあったのを見て疑問に思っていたから納得。そのエピソードで、コーネリアも2人を敵視していなかったか、死者(と思っている人)に配慮する精神があることが窺えて面白い。
ルルーシュは、策士である一方、精神の弱い(高校生くらいの年齢相当な感じがする)ところが結構多いのが面白い。策士だからこそ、かもしれないが。生徒会の面々の評価でも、ルルーシュは頭でっかちで本番に弱いということになっているのが、説得力を増している。周囲の連中が思っているよりは遥かに行動力があるが、それでもその評価が本質的に当たっているところが面白い。策の能力が行動力よりも高ければ、弱いのは行動力ということになる。滅茶苦茶当然のことだけど、他の人より強くても、より弱いところがどうしても弱点になってしまう。


スザクは、ツバサの小狼だな。あの無茶苦茶な運動能力は、便利キャラでしかない。運動能力を裏付けるような何かが出てくるかもしれないが、自分が死んでも構わないと思っているような無茶だということで片付けられてしまいそう。
スザクのトラウマが判明したけれど、そこにはあまり興味が湧かない。ぼくは基本的に他人の心が理解できると思わなくて、せいぜい、ああすればこうなる的に理屈で他人の考えそうなことを追って推理できればそれで十分だと思いようなタイプだからな。

そのトラウマとなる事件が、Aパートの子供の頃のシーンの後のできごとで、大量の命と1人だが肉親の命を天秤にかけたときに、多くの人名の方を選ぶという冷徹で合理的な判断だったのだという因果関係をを感じさせられる。その事件が、非合理なまでに人命重視と自分の命の軽視という心理をスザクに生じさせているというのは、筋が通っているし、かつ納得させる以上の効果があると思う。
ただ、その効果はキャラクターとしてフィクション内部では十分にリアリティがあるという効果しか生んでいなくて、ところどころ打たれ弱いところがあるルルーシュの持っているフィクションとしてよりも現実としてリアリティがある感じにまでは至っていないのが残念というか、ルルーシュほどは重視されていないと言うか練り混まれていない感じがして残念。シナリオ上の要請でそうなっている感が強い。
ルルーシュの場合は、あの冷静なキャラがあそこまで動揺するのはフィクションとしてはやりすぎで大げさ、下手をすれば視聴者をしらけさせかねない演出なのだが*1、リアルの人間はあれくらいの振幅を平気で持っている(精神病質の印象を与えるかもしれない)もので、そういう作品世界の外に繋がっているような力のあるリアルさがあるように思う。


ルルーシュは、基本的に1話完結で進みつつ、シナリオが連鎖していくのが本当に上手くて、そういう構成がファーストガンダムっぽいとぼくには感じられて素敵だ。
それに、かなり大量にいるキャラクターを高頻度で登場させて印象を薄れさせない。しかも伏線になる。小説だと絶望的に難しくて、漫画でも印象に残しにくいだろうか多分やりずらい。結構映像的な上手いやり方だと思う。

*1:他人の目に触れないシーンが大半なので、心情吐露の映像上の演出にすぎないという面もある