フリンジ論

服飾の話じゃなくて、萌属性はギャップだという話。
世間一般のツンデレの解釈だと、みんなといるとよそよそしくて、二人っきりになるとデレデレするということになっているが、そういう長ったらしい説明は要らない。ツンデレというのは、要は少年の心である。代表例はカードキャプターさくら小狼。好きな女の子に対意地悪してしまうという、少年のしょうもない習性である。それを女子がやっていると、そういうことに過ぎない。何故それが萌えるのかというと、萌えるオタクは男だから。男だから、少年特有の心理というか行動に共感でき、又は理解できる。
だから、ツンデレというのは一種の性転換ものなのだ。無論、性格は男女差だけでなく個人差の影響が大きいから、ツンデレが男の性質だと言い切れないが、そこがポイントとなる。そのキャラクターが女なら萌えられる。しかし、好きな子にちょっかい出して一喜一憂するのは少年だ。少女じゃない。ツンデレのキャラクターをもつ登場人物は、感情が表情に出やすいことになっている。そこら辺も少年と同じだが、つまりは視聴者に心理が分かってしまう。分かってしまうことで視聴者(主に男)は共感できる。そして、共感の対象となるその性質は、男のもつ性質なのだ。男に萌えているようなものである。自己愛っぽい。
お嬢様属性も、この文脈でいえば男となる。それもおじさんの性質である。ある程度偉くなった管理職っぽい挙動だ。我が侭で偉ぶっているが、現場のことに疎くなっている。助けてやると、照れ隠しに憎まれ口をいいながら感謝する。そういえば、ツンデレっぽい行動のおじさんもいる。職人というか、そんなに偉くないおじさんだ。
萌えキャラは、男を萌えさせる。男だから、男っぽい心理に共感できる。だから、萌えキャラは男っぽい。じゃあ、自分のことをおじさんとか言ってセクハラっぽい行動に出る百合キャラは男っぽいから萌えなのかと言ったら、そのセクハラな感じのマッチョっぽさはオタクとは違うから、あくまで女の子同士というシチュエイションに萌えても、その瞬間のおじさん女には萌えないと思う。そういう女が女らしさを見せると、萌えるかもしれない。
また、女らしいが意見なのに男勝りな(男前と言っても良い)キャラクターより、ボーイッシュなのに女の子らしい内面を持ったキャラクターの方が萌える。女の子らしいファッションセンスにオタクは疎い。その点、ボーイッシュな格好は馴染みやすい。そして、男らしいマッチョな発想をオタクは持っていない。男前じゃない。けれど、可愛いものが好きだ。可愛いものに萌える。ガーリィな内面性を持っている。一生懸命フリルを描いている絵師は半分以上男だろう。
ぼくは、性転換ものや時空を超える物語が大好きだ。日常と非日常が一緒くたになる状況は、それだけでエネルギーを生み出す。そのギャップが力を生む。フリンジッ。だから、非日常が日常になってしまったり、日常が非日常を飲み込んでしまってはそこで祭りは終了してしまう。ツンデレはさりげなく性格の性転換をすることで日常を非日常と連結する重要なギミックだから、あまり迂闊な演出はして欲しくないと思う。
ところで、男らしさ女らしさというのは、本来の性別の性格とは逆なのだという養老猛の意見は、けっこう当を得ていると思う。それでいくと、男勝りな女というのは実はまさに女らしさ全開なので、特に生産的でも何でもないオタク活動をする男という、実は男本来の性質を持つ男にとっては、対極的というか理解しがたい存在になって、萌えられないんじゃないかと思う。そういう意味では、オタクというのは、無意識的に古典的なのかもしれない。
これ、なんの話だったの?