VOCALOIDが歌う歌詞

VOCALOIDの使用許諾契約は、公序良俗に反する歌詞を含む合成音声を公開または配布することを禁じている。


VOCALOIDが人間の歌声を模すとはいえ、楽器と何ら変わらないことを考えると、いささか奇妙に感じられる。しかし、商品イメージは信用やブランド力を形成する重要な要素だ*1


狩猟目的の猟銃も、人に向けられればイメージが低下するし、医療や食品もイメージが下がれば不利益を被る。となれば、VOCALOIDもイメージが低下するような使われ方は忌避したいところだろう。


それに、VOCALOIDはイラストを添えてキャラクタライズされた商品でもある。イメージを喚起させやすい分、イメージ悪化の影響もより大きくなる。例えばミッキーやマックのドナルドに吹き出しをくっつけて、その中に公序良俗に反する言葉を添えたものが街に溢れていけば、キャラクターは勿論、その経営会社のイメージも悪くなるだろうことは想像に難くない。


となれば、未だ認知度が指して高くないとはいえ、ブランド成形を目指すVOCALOIDとしては、やはり公序良俗に反する歌詞に利用すべきと判断されることになる。しかし、まあ、それは猟銃や包丁の利用のように、良識というか常識でもなければいけないのだけれど、新しいものだとどうしても確認せざるを得ない。これがディズニーキャラクターだったら、そんなことしたら何か言われるだろうなというのはもっと容易に想像できるのだから。


ただ、VOCALOIDは直接「喋る」商品だし、その機能自体が目的として購入されるわけだから、そこに制限が入るというのはちょっと強権的な気がしなくもない。けれど、猟銃が動物を狙うものだとしても、禁猟区があることに問題はないし、人を刺す気がなくても、街中で剥き身の包丁振り回しながら走っているヤツがいたらしょっ引いた方が良い気がするのも実際にある考え方だ。今のところ、タバコは禁止されていないけれど、路上で吸うことを禁止する条例を作っても違憲にはならない。


とすれば、直接的な機能・目的であっても、その一部を禁止することが直ちに強権的ではないということになる。ま、どうでもいい話だけどね。

*1:会社の知名度なんかもブランドになるし、最終的にはブランドであることが更なるブランド力を生むようになる。